最初に役員の原稿を書いたときの話です。資料の説明原稿だったので何を言うかは決まっていました。自分なりに一生懸命考えて書きました。でも結果は、ほとんど直されて「てにをは」くらいしか残りませんでした。
その時、上司がぼくに聞きました。
「君はこの原稿を考えるとき、スピーチする役員の過去の原稿を読んだか?少なくとも20くらいはあるはずだ」
答えはノーでした。すると、こう解説してくれました。
「君がいくら考えたって、それは君の過去の経験からうかぶ言葉を使うことになる。そうすると、できあがる原稿は主任レベルの原稿になってしまうだろ。人には言い回しの好みもある。考えるためには、まず勉強しなきゃ」
それで、次の原稿を書くチャンスをいただいたときは、まず、過去の原稿をいっぱい読んで、その人が好むいろんなフレーズと自分の言いたいことを混ぜて、うまく編集するように原稿を書きました。
結果は、ほぼ直しなし。指導してくれた上司は、涙をながして喜んでくれました。
仕事って、なぜかあらかじめ勉強したり、充分な情報を得ることなく、取り組む人が多いように思います。
そこには、まねはしてはいけない。その人が自分の頭でよく考えて、オリジナリティを出さないといけないという考え方があると思います。
でも、考えてみれば、ビートルズだって、最初はエルビスプレスリーにあこがれて、ロックンロールのコピーをいっぱいやることからスタートしました。名曲の数々を作り出すのはその後です。ピカソのような天才画家も最初は模写から。まねることがスタートです。
インプットなくして、アウトプットなし。
勉強もせず、情報も集めずに考えても、出てくるのはそれまでの自分の経験からのアウトプットだけ。結局、元になるのは、それまでの自分の人生の中で、勉強したこと、得た情報、まねたことです。企画するうえで一番大事なことはインプット。
必ず何か学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt