キムライフ

もらったものは次の人に渡す。トヨタでの出会い・経験、大好きな本や音楽などからもらったものがどこかの誰かにわたり、もし役に立てればうれしいです。

百の理屈より、一つの言葉が人を動かす。「大躍進オート店」

売店に示す中期方針書を作っていた時の話です。
 
市場データやお客様データを分析して、誰をターゲットにどの車をどんな風に売るのか、戦力の投入や効率はどうするのか、そして、台数や利益の目標はどの程度を目指すのか、そんなことをキチンとデータで検証して方針をつくります。
 
途中、担当役員からはたくさん修正が入ります。作った資料は赤ペンで真っ赤っか。その中には、
 
自分たちがこれでわかると思っていることがとりわけよくないと書かれていました。
 

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そうやって作った方針書に、担当役員が「大躍進オート店」という言葉を資料のど真ん中に大きくいれるように言いました。
 
自分には、「大躍進オート店」という言葉は、脈絡がなく、唐突に聞こえてしっくりきませんでした。
 
でも、書くように言われたので、仕方ありません。渋々その言葉を資料の目立つ場所に大きく書きました。そして、その役員は、その方針書の最後のページに「大躍進オート店」とご自分で勇ましく毛筆で書かれました。
 

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そして、方針を推進する段階になりました。そこで、気づきました。
 
売店の皆さんにも、販売店と一緒にチャレンジする我々にも、もっとも心に刻まれていた方針は、細かな数字や理屈ではなく、大躍進という言葉でした。
 
当時のオート店チャネルは全国66社、2万人の社員の方がおられました。
 
根拠もなく大躍進といっても、その言葉は空虚に響きますが、いくら理屈があっても、一言で伝える言葉がなければ、その内容は66社2万人には伝わりません。
 
明治維新鳥羽伏見の戦いは、かかげられた錦の御旗が戦う侍の士気におおきく影響し、薩長軍の勝利の大きな要因になったと言われています。
 
人が心を一つにして何かを目指す時、目指す旗はシンプルでワクワクするものでないといけない。大躍進という言葉には、そんな力があったと思います。
 
おそらくすべてのことは、つきつめて考え、思いがこもると、たった一言の強い言葉になるような気がします。
 
そして、その言葉を伝えたい相手にどう発するのか?
 
例えば、これが恋愛ならば、「愛してる」というたった一言を、思いを込めて、しばらくの沈黙のあと、しぼりだすように相手に告げるでしょう。
 
それと同じように、担当役員の方は、思いを込めて、販売店の皆さんに、毛筆で「大躍進オート店」と書かれたのだと思います。
 
言葉ってすごい。その言葉を心を込めて伝えると、言葉は大きな力になることを学びました。
 
必ず何か学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt