トヨタの問題解決で一番大事でむすがしいのが、ステップ2。「問題をブレークダウンし、問題点を特定する」です。
なぜでしょう?
それは、人は早く解決策を見つけたいので、すぐ理由と解決策を考えようとしてしまうからです。
例えば、工場で作っているクルマのドアに3つ傷が見つかった場合。
一つ一つの傷のできた理由は違います。でも、どうやって傷を減らすか、不良率をどう下げるかをすぐに考えてしまいます。
では、この絵の彼はどうしてモテないのでしょうか?
太ってるからと思った人いると思いますが、太っててもモテる人はいます。
センスがないからと思った人もいるかもしれません。でも、センスがなくてもモテる人はいます。
顔、声、体型、性格、体臭、収入、仕事の種類、頭の良し悪し、いろんな問題があり、それぞれの問題があわさって、モテないという問題はできています。
一度に全部をなおすことはできません。なおせないことだってあります。
だから、すぐ理由や解決策を考える前に、問題をバラして、どの問題をなおすかを決めなければなりません。
そして、ここからがものづくりノウハウの特徴なのですが、解決する小さな問題を決めたら、その問題がどこで発生しているのか?問題が発生するポイント、問題点を見つけます。
例えば、ドアのキズであれば、工場のラインの最後から、どこでキズがついているのか、ラインをさかのぼって探します。
キズがついてしまうラインのプロセスを見つけたら、そこが問題点です。
問題点が特定できたら、そこからなぜなぜと理由を現場で考えます。
でも、工場なら、さかのぼることも現地で考えることもできるけど、工場みたいにさかのぼれないときはどうするのか?
例えば、営業の売り上げが上がらないとき、何をさかのぼればいいのか?
ずいぶん考えました。で、気づいたんです。
あらゆるものはつくられていると。
売り上げをつくると言うとちょっとピンとこなくて、なんだか架空売り上げみたいに聞こえます。実際、売り上げは結果であって、つくっているものではありません。
営業がつくっているのは、お客様の買いたいという気持ちと行動です。
それに気づいたとき、目の前の霧が晴れたように感じました。
人の気持ちの移り変わりにはプロセスがある。そして、プロセスがわかればさかのぼることはできる。
いつ、買いたいという気持ちができたのか?あるいはなくなってしまったのか?そのポイントを特定することは、ある程度できる。
逆にそのポイントを特定せずに、的確な対策なんてうてるはずがない。
どんな仕事でも必ず何かをつくっています。つくるためには必ずプロセスはあります。
そもそも、人が生きているってこと自体、必ず何かをつくっている。
ステップ1で、キング牧師の話をしましたが、人種差別でつくられているのは、人を差別するという気持ちです。
具体的な差別の行為は山のようにある。あの時、数ある差別の中から、バスやレストランなどの白人、黒人別にスペースがわかれているという問題に的を絞って、キング牧師は活動をしていきました。
それは、もっとも身近な差別だったということもありますが、人は、日常目にすること、シグナルで知らず知らずのうちに気持ちや考え方ができていきます。
まずは、身の前に見える差別をなくすということは、人の差別の気持ちが生まれる瞬間をなくすことにもなったのだと思います。
どんなに大きな問題も、小さく分ければ、自分で何とか解決できる問題は見つかる。
そして、あらゆる問題は人がつくっている。つくられているものは必ずなおる。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt