キムライフ

もらったものは次の人に渡す。トヨタでの出会い・経験、大好きな本や音楽などからもらったものがどこかの誰かにわたり、もし役に立てればうれしいです。

「そんな嘘つきを採用した覚えはない!」新入社員と一緒に研修で怒られちゃった思い出と、教えるということ。

採用と社員教育の責任者をやっていた頃の新入社員研修1日目の出来事です。
 
当時の新入社員は約1,000人。その1000人が大きな講堂に集まって、最初の研修が行われます。ぼくは一番後ろの壁際にすわって、研修のようすを見ていました。
 
大きな講堂で、壇上は新入社員のみんなが見やすいように明るく、みんなの座ってるところは暗くしてありました。
 
この状況、寝る人必ず出てきます、ぼくも少しウトウトしていました。
 
2時間目は就業規則の説明です。説明する人事の担当者は、自分の時間がくる前に、講堂のようすを見回っていました。そして、2時間目の最初にこう叫びました。
 
学生の時はお金を払ってるんだから、寝るのは勝手だ。しかし、今日から君たちは社会人だ。給料をもらってるんだ。だから、寝るのはもってのほか。にもかかわらず、寝てたやつがいる。
 
寝てたやつは手をあげろ!
 
困りました。ぼくもウトウトしてましたから、あげなければいけない。でも、あげるかどうか迷いました。なぜなら、自分はこの研修の責任者だったし。
 
で、結局あげるのをやめました。そうしたら、次に人事の担当者はこう叫びました。
 
この中に寝てたのに、手をあげなかったやつがいる!トヨタは嘘つきを採用した覚えはない!
 
うまいこと言うなぁ〜。
 

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そのあと、逆ギレ反省会です。
 
だいたい眠たくなるようなことをしてるほうも悪い。来年は、あの担当者が今年と同じようにしようとした時、誰も寝てなくて悔しがるような面白い研修をするぞ!
 
なんだかんだ言って、寝てる方が悪いのは間違いありません。
 
ただ、営業では、正しいことを言えば、相手が聞くと思ったら大間違い。相手が聞いてくれなかったら、自分の伝え方が悪いと思えと教えられていました。
 
そういう姿勢はコミュニケーション、教育の基本だと思うのです。
 
大村はまさんという国語の先生がおられました。
 
社員教育の仕事をすると決まって、教育関係の本をたくさん読んだのですが、一番感動し、ためになったのが大村はまさんの本でした。
 
日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)

日本の教師に伝えたいこと (ちくま学芸文庫)

 

 

大村はまさんは、1928年から1980年の52年間、一教師をつらぬかれました。
 
そのはまさんが、教えるということはどういうことか?教師とはどうあるべきかを語ります。
 
その中ではまさんは、
 
「なさい」と言いたいことを、そう安易に言わないで、自然に子どもにさせてしまう人、そういう人が教育の専門家らしい人
 
偉いから教師のことを聞け!なさい!は絶対に行ってはいけない言葉、そういう教師はただの検査官だ
 
と書かれています。素晴らしいなぁと感心しました。
 
残念ながら、その次の年、ウトウトしちゃったのを自首しなかったからではないと思いますが、ぼくの仕事が変わってしまい、面白い研修やって、担当者が悔しがるところは見られませんでしたが、はまさんが書かれたことは教育をする人がもつべき姿勢だと思います。
 
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt