問題解決テキストをつくったあと、今度はトヨタ流のOJTの仕方を教えるOJT研修をつくることになりました。OJTとはオン・ザ・ジョブ・トレーニングの略で、仕事を通じて教えることを言います。2000年代半ばの頃、このOJTができない人が増えていたことが問題になっていました。
バブル崩壊で採用をしぼってしまい、5年間くらい社員がとても少ない時代が続いた結果、誰も部下を持たないまま、いきなりマネジャーになる人が増えていました。
その人たちは教えられたことはあっても、教えたことがなかったので、部下をうまくOJTできなかったのです。
その研修の企画を担当役員に持っていったところ、こう言われました。
それを研修するって、それはSEX研修しますってことと同じだぞ。俺は認めん」
予想外の反対とその理由にビックリしましたが、上手いこと言うなぁ〜とちょっぴり感心しました。
それなら、OJTリーダー研修、OJTができるリーダーをつくる研修でどうでしょうか?と聞いたら、それならいいとなんとかOKをもらいました。今考えると、それってSEXリーダー研修と同じだから、そっちの方がもっと変な気もしますが。。。
それで、こう答えました。
「あなたはこの講演会のためにどんな企画をしましたか?きっと、講演会の日時と場所と講演テーマ、それに講演者を書いただけでしょ?」
その方はそうですとお答えになりました。それで、僕はこう答えました。
「トヨタでは、毎年やっている講演会の内容を決めるときにも、成果反省をさせられて、目的を考えさせられる。今どんな問題があって、誰をターゲットに、何を学ぶ必要があるのか?それはなぜか?そして、そのためにどんな講演が必要になるのか?
どんなおきまりの仕事でも必ずPDCAをさせられるんです。」
そんな風に実際の仕事を通じてトヨタの社員は問題解決をたたき込まれていきます。
社員は仕事を通じて成長するのだから、経験年数が一つの基準になります。しかし、人によって習得速度は違う。したがって、能力の差は昇格するスピードの違いとなって現れる。成果による降格や飛び級はしないという考え方です。
だからこそ、担当役員もOJTができなくなっていることに驚き、ちょっぴり下品だけど、わかりやすい例で怒ったわけです。
それは次のブログで。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt