OJT研修をつくることになった頃、新任マネジャー研修も開発し、実施していました。実は、OJTで悩んでいるマネジャーが増えていることに気づいたのは、このマネジャー研修を通じてでした。
自分は32才の時にグループマネジャーになってから、当時10年くらいマネジャー経験をかさねていました。
誰もマネジャーの仕事について教えてくれなかったので、今までの上司のやっていたことを考えながら、トライアンドエラーを繰り返しながら、スタイルをつくっていきました。
新任マネジャー研修では、自分が学んだことをみんなに伝えることを心がけました。「もらったものは次の人にわたす」です。
その当時、自分の10年間を振り返ると、10年間で自分のマネジメントスタイルは二度進化していました。
第一形態: プレイヤー型
プレイヤー型とは「グループの仕事=全部自分の仕事」と思って、メンバーを使い、仕事をします。
誰でも最初にマネジャーになると、このプレーヤー型になることが多いと思います
<スタイル>
・部下を手足として使うので、マイクロマネジメントになります。
・とても厳しくて、冷たい上司になります。パワハラになる人は全員このタイプです。
このアウトプットでは自分として満足できない、評価されないじゃないかという
気持ちで部下を怒ってしまいます。
<良いところ>
・ついてこれる部下は育つ
・自分のレベルのパフォーマンスを出せること。
<悪いところ>
・すごく忙しくなる、ストレスがたまる。メンバーが疲弊する、育たない。
・自分の実力以上の成果は出せない。
このタイプでは、短期的に成果はでても、長続きしません。時として、メンバーがつぶれます。
メンバーと自分との実力差が大きい時は、このやり方でないと、うまく成果がでませんが、その場合を除くと、あまりいい型ではないと思います。
僕はそのことに気づいて、1回目の進化。プレーヤー型からサポーター型に進化しました。
第二形態: サポーター型
サポーター型は「グループの仕事=メンバーの仕事」と思って、メンバーと共に働き、仕事をします。
プレーヤー型で部下につらい思いをさせてしまった後悔から、今度は部下をサポートすることに徹しようも思いました。
<スタイル>
・部下が仕事をすすめるのに任せて、やりきれるようにサポートします。
・いいよ、いいよという優しくて、あまいマネジメントスタイルです。
<良いところ>
・メンバーにストレスがたまりません。
<悪いところ>
・パフォーマンスが部下の能力に大きく左右されます。多くのケースでは、マネジャー
の能力の方が高いので、マネジャーが出せる成果より成果が悪くなるリスクが
あります。
・甘すぎて、意外に部下が育ちません。
このタイプでは、グループの雰囲気はよいのですが、成果が向上しないし、安定もしません。全員のメンバーの能力が高い時はいいのですが、そんなにメンバーが揃うことはまずないので、この型もベストとは言えません。
そのことに気づいて、僕は2回目の進化。マネジャー型になりました。
最終形態: マネジャー型
マネジャー型は「グループ長の仕事=マネジメント」と思って、メンバーをマネジメントして、グループのパフォーマンスの最大化とメンバーの能力向上を図るよう、仕事をします。
プレーヤー型でも、サポーター型でも、思ったようにうまくいかず、このスタイルになりました。
<スタイル>
・方向やゴールを明確に示します。
・人にあわせた対応を心がけ、各メンバーの実力以上の力を引き出そうとします。
(任せて見ておく人~手取り足取りの人・厳しい人~やさしい人)
・メンバーの良いところを活用し、悪いところはカバーしあえるように、
役割分担します。
<良いところ>
結果、グループの雰囲気がよく、成果もでます。かつ、部下が成長します。
部下が成長するので成果は向上し、自分の実力以上の仕事ができるようになります。
<悪いところ>
きめ細かい対応が必要になるので、マネジャーの負荷と能力が必要になります。
ぼくの場合は、だいたい3年ごとに進化しました。第1形態のときのメンバーには苦労をかけたなと思います。今でも会うと謝ります。
厳しく指導すべきとか、任せるべきとか、マネジメントについてはさまざまな意見がありますが、人によって変えるというのが正しい答えだと思います。
そもそも、マネジャーとはマネージする人という意味。マネージとは英語でどうにするとか、やりくりするとか、そういう意味だそうです。
築くべき未来を持ち、今を生きる一人一人とよりそって、問題解決とOJTを繰り返す。
それがトヨタで学んだマネジメントです。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt