絵をぼーっと、じーっと観ながら、頭を空っぽにしたり、思い浮かぶことを考えてみたりするのが好きです。
絵画とは、常にその時代、人が信じるもの、その時代に力がもっているものを描いていると思います。
その次が、労働者です。ミレーの農民の絵が有名ですが、あの絵が描かれたときは、こんな普通の人たちが絵になるのかと随分話題になったそうです。この頃、ちょうど共産主義が生まれており、そうした大きな時代の流れがあの絵が生まれた背景にはあったと思います。
そして、ミレーが農民を描いてから間もなく、景色を自分が感じたように描く印象派が生まれます。
真実がそのもの自体(写実)ではなく、自分がどう見たか(主観)にあるという価値観に支えられたこの絵画は、産業革命と共に個人主義が台頭した時に生まれました。ニーチェが神は死んだと宣言し、実存主義を確立したのもこの頃です。
その後、第2次世界大戦をへて、ベトナム戦争が始まり、科学全能の考え方はおかしいのではないか?との疑問が人々に生まれ、人間一人一人の自由が大切だという価値観がひろがっていた頃、
ジャクソンポロックのアクションペインティングが生まれました。
絵の具をドリップするだけのその絵画は、人の行動の自由こそが最も尊いことを表していると思います。
それと同じころ、大量生産でモノが街にあふれ、工業がつくる幸せに囲まれていた時、その力を表すとともに、そのことへの警鐘を鳴らすべく、
そして今、絵画は芸術の最前線からしりぞき、新しい絵画は生まれなくなりました。
最近の絵画はせいぜいきれいだなーとか、面白いなーとか、壁にかけるインテリアの役割しかないように思います。
このことは、現代に多くの人が信じられるものがなくなっている証、一人一人が自ら信じることをつくる時代の証なのかもしれません。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt