日本に帰って、最初にした仕事はPHV、プラグインハイブリッド車を普及させる仕事でした。
PHVは電池がある間は、EV、電気自動車として走り、なくなったらハイブリッド車として走ることのできる次世代環境車です。
電池をたくさん積むため、価格が高いことと、EVとして走るには充電のための設備が必要なことが普及のための課題でした。
そんなことをしていて、えっ!はぁ〜、うん?てな感じで気がついたことが3つあります。
まずは、
えっ!知事って、こんなにえらいんだぁ〜
とにかくえらいんです。ある県では、県庁におじゃましたとき、大きな応接室に通されたのですが、その応接室に続く廊下に、3メートルおきにスーツ姿の職員の方か立たれています。
その人たちは、我々には軽い会釈程度。これから、我々に会いにくる知事がくるのを待機しているわけです。
それは、よほど大きな企業の社長でも、こんなことはありません。
応接室で待つこと、3分程度。知事登場です。背が高いかっぷくのある方でした。「どうもどうも」そう言って、ソファーにドンと座られました。
その後、お話ししたことはあまり覚えていません。一般的に正しいことをもっともらしく話していたような気がします。
本当にタテがつよいところなんだなぁ〜と思いました。
次に、
はぁ〜地方自治体の優秀な人たちは国への陳情する部署にたくさんいるんだぁ〜
地方自治体の歳入の約3分の1か国からのお金です。だから、何かやろうと思ったら、国からお金をとってこないといけません。そのための陳情企画が必要になります。
この陳情企画を考える部署に優秀な人がいるんです。次世代環境車の普及は、まさしく国からの支援が必要になることだったので、その部署には、優秀な人がたくさんいました。
本来、優秀な人は、地域の住民をどうしたら幸せにできるか?そういった外を向いた仕事をするべきなのに、内を向いた仕事にあてられている。
タテが強くなると、外より内が大事になってしまうんだと思いました。
そして、ここで、
うん?これって、ヨーロッパの時に似てるなぁ〜
ヨーロッパの事業にとって、どんな商品ラインナップがもてるかはとても大事です。そのため、ヨーロッパの会社の優秀な人は、本社に商品要望を出す部署にたくさんいました。
なかなか結論が出ないため、その要望は形を変えて、いろんな機会に何度も何度も行われていました。
本来、ヨーロッパでどうやって車を売るか?事業の地力をつけるか?お客様の心をつかむか?そういった外向きの仕事に優秀な人はあてられるべきなのに、本社に要望する仕事にあてられている。
地方自治体をみて、感じて、うん?これって、どっかと一緒やん。
そう思ったわけです。
今では、大きく変わって、そんなことはないと思います。
タテ社会の組織は何を実行すればいいかがとても明確な時は、すごくいいと思います。方向が明確だから、上の決断が早くて正しい。そして、上からの命令で一糸乱れず動くことがとても大事だからです。
ところが、方向があまり明確にならない新しいことや、複雑で決断が難しいことになると、タテ社会の組織はよくないことが多い。
あいかわらず、下は上の決断や命令を待つのですが、上が決められないから、延々と陳情が続く。優秀な人が内向きになるから、本来、現場が一番につかむべき変化に気づくことができない。そんな状況が続き、変化に対応できない。
当時は失われた20年と言われていた頃。日本停滞の理由の一つを現場で見た気がしました。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt