その松永さんにインタビューする機会があったのですが、その松永さんが言われた言葉が、
スーツを着て考えない。
人はスーツを着ると、自分が思うことに素直に考えず、仕事として正しいと思うことを考えてしまう。だから、何か新しいものを人がほしいと思うかどうかを考えるときはスーツを脱いで考える。それが無理ならスーツを着ていることをわすれないといけない。
そう教えてくれました。
昨日、お客様視点の話を書きました。それは言い換えれば、
自分がほしいと思うかどうかで、良いか悪いかを考える
ということだと思います。
ところが、スーツを着て仕事で考えると、今のトレンドだからほしいと思う人はいるだろうとか、合理的に考えれば買う人はいるだろうとか、広告代理店が持ってくる提案を面白そうだとか、
スーツを脱いだ時、自分がお客様の一人になった時、買わない、欲しいとは思わないにもかかわらず、正しいから売れる、そんな風に考えてしまいます。
思えば、ベンチャー企業の方、とりわけIT系の方の多くはスーツを着ておられません。アメリカのグーグルやアップルが集まる地区、シリコンバレーの人たちもまたスーツは着ていません。スティーブジョブスはいつも黒のタートルネックにジーパン姿でした。
それは、そこで働く人たちが、お客様視点で考えることをとても大切にしているからなのかもしれません。
松永さんがその時教えてくれたもう一つの言葉が
理屈は後づけ。
まず欲しいかどうかを感じる。欲しいと思ってから、理屈でなぜほしいと思うのかを考える。理屈が何かを生み出すわけではない。
たしかに理屈って、そういうものです。そもそも科学も何かを生み出しているわけではありません。自然がなぜそうなっているのかを説明する理屈を発見しているだけ。
理屈を発見すると、自然を待つことなく、人の力で同じことを再現することができます。そうやって、その理屈を使った新しいものが生まれ、自然が変わり、世の中が変わる。
それが流れです。
まずはスーツを脱いで、感じる。不思議なことを不思議に思うとか、ほしいものをほしいと感じるとか、感性を使って、アイデアをつかむ。
そして、スーツを着て、理屈でなぜかを考えてビジネスをする。
新しいことを考えるときの正しい順番です。
必ず学べることはある。
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt