某社ヘルスケア事業を立ち上げた方と、東京タワーと六本木ヒルズが見えるところで夕食をしたことがあります。
その方は役員に新しく始めるヘルスケア事業の事業責任者になるよう言われた時、
「事業責任者になると利益のことを考えて、利益のために働かなくてはならない。自分はエンジニアがわくわくするような仕事をしたい。それができなくなるのはいやだ。」
と答えたそうです。
その時、役員はこう言われます。
「会社は利益がなくては生きていけない。だから、会社にとって利益は、人間にとっての空気みたいなものだ。だが、空気を吸うために生きている人間はいない。
だから、利益のために生きる会社なんてない。利益は何か大きな目的を成し遂げるためにある。」
そう聞いて、その方はエンジニアが幸せに仕事ができるように頑張ろうとその職を受け入れたそうです。
会社は儲けるためにあるという考え方もありますが、それは人が空気を吸うために生きるというのと同じこと。
また、たくさん儲かる会社がいい会社という考えかたもありますが、お金で何かを評価するのはあまり好きになれません。
たしかに、ほとんどのものはお金に換算することができます。お金で評価すれば、様々なものを評価することができる。でも、
お金に換算された瞬間に、その個性は消えて、お金の額が価値になってしまう。それがどうにも居心地が悪い。
儲けは会社が生きるための必要条件。そのうえで、会社は何のために生きるのか?
ベンチャーの多くは、事業を始めたころは、成功してお金をたくさん儲けたい一心なんだそうです。
特に、起業してしばらくはお金にとにかく苦労します。だから、会社がつぶれないように儲けるために必死です。
でも、いったん事業が軌道に乗って、お金が手に入るようになると、今度は儲けたいという気持ちだけでは頑張れなくなる。
そこで、ふと立ち止まって、それまで一生懸命やってきたことの使命を考え、会社の事業を営む理由、目的を意識するようになるといいます。そして、高い志をもって、さらに頑張るそうです。
大企業で考えると、すぐ志とか、美しい理想を考えますが、それはまず儲かって生きていけるようになって初めて考えられること。
儲かるかどうかわからないけど、とにかくやってみようというのは、果敢なチャレンジというよりは、無謀なチャレンジ。
空気があるかどうかわからないけど行ってみようというのと同じこと。
生きるためにやることは、時に美しくもなく、理屈どおりでもなく、泥くさく欲深い。
まずは何が何でも儲ける。美しさはその先にある。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt