新事業立ち上げで、ベンチャーはうまくいくけど、大企業ではなかなかうまくいかなかったという話をずーっとしてきましたが、
自分が担当していた頃に新しく始まった大企業との取り組みで成功したものもあります。
つながる自動車保険です。
昨年、あいおいニッセイ同和損保さんが新クラウンとともに発売された日本初の本格的なコネクテッド保険です。
この保険を検討し始めたのは今から約8年前。
当時はプリウスPHVというクルマでつながるクルマが始まったばかり。
つながるといっても、PHVだけなので台数は少ない。つなぎ方はスマホを使ってつなげる方式で、クルマがデータセンターに発信する内容もまだ少しでした。しかも
しかも、初めてのことなので、社内の関連部署も自分たちのことで忙しく、保険を開発したあいおい損保さんもなかなか協力を取りつけるのに苦労されていました。
最初、PHVで出したつながるクルマ関連の保険商品は、PHVの数も少なく内容も今一つだったのでほとんど売れず。あいおい損保さんとしては、システム投資などされていましたので、なかなか思うように売れない時はすごいプレッシャーだったのではないかと思います。
それでも、つながる機能の充実に合わせて、あきらめず取り組まれ、昨年、クラウン発売にあわせて、実現することができました。
大企業との新しい仕事でうまくいったのはこれだけですが、
なぜうまくいったのか?
思いあたる理由はいくつかあります。
1.成長する領域だったこと
クルマのつながる機能は、当時は始まったばかりでしたが、今後ドンドン強化されることはわかっていました。そういったのびる領域で頑張ることは大事だと思います。
昔、孫さんが子供の頃、来島ドックという造船業を立て直した経営者が名経営者と評価されるのを見て、たしかにすごいけど、斜陽産業でがんばるのは下りエスカレーターを登るのと同じ。同じがんばるのなら上りエスカレーターを選ばないといけないと書かれているのを読みました。つながる領域はまさに上りエスカレーターだったと思います。
2.社運をかける覚悟
つながる自動車からのデータを使う保険で勝つと決めて、量や内容でとてもビジネスにはならず、他社がまだ動きもしない段階から、本格的な投資も含め、取り組まれました。そこには、ゆるぎない覚悟があったと思います。
3.専属組織をつくり、強くサポート
これは他社にはなかった独特の組織でした。何より、保険の販売、対応といった本業と切り離されていたのでブレることがありません。一貫して強くサポートされたリーダーシップは素晴らしかったと思います。
4.共同の検討会で商品内容を具体化したこと
なかなか社内部署の協力が得られなかった頃、共同検討会という枠組みをつくることで、徐々に協力が得られるようになっていきました。普通はなかなかオープンにしない将来の開発内容も共有し、早くから共同検討したことで、クラウン発売にあわせた発売が可能になりました。
5.思いっきり仕事して、思いっきり遊ぶ
新しいことにあきらめずにチャレンジし続けるには、チームは大事です。頭だけで考えればやめたほうがいいと思えることでも、一緒にやってみよう、やろうと言いあえる仲間が必要です。
そんな仲間は、昼の仕事だけではなかなかできません。昼間は頭で仕事することが多いからです。60回も続いた一つ一つの効果は?と言われると具体的には難しいですが、あきらめずにチャレンジし続けられた理由の一つだったし、その場で思いついた対応策のアイデアも多かったと思います。
こうやって書いてみると、
大企業のなかでも、やればできる。ベンチャーになれる。やれば、一生の友だちができる。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt