ほんとうに好きって、具体的にどれくらい好きだとそう言えるのか?
原さんはもう亡くなられているのですが、原さんの奥様にお会いしたことがあります。当時もう92才になられていましたが、とても品のあるステキなおばあさんでした。
そのおばあさんが僕にこう言われました。
「先立った主人は子供より鉄道模型が好きでした。子供の誕生日も忘れる、どこの学校に行ってるかも知らない。それぐらい鉄道模型に熱中していました。こんな風にいうと、それはたいへんでしたねと思われるかもしれませんが、ちっともそんなことはありません。
主人は幸せなひとでした。そして、好きな事に一生懸命な人のそばにいることができた私も幸せでした。だから、どうか、あなたも子供のことを忘れるくらい好きなことを見つけてください。」
奥さんは子供にも大好きなことを大切にすることを教えられていました。原さんは、子供が鉄道模型をさわることも禁じられていたそうなのですが、奥さんは、お子さんが原さんの鉄道模型にさわったとき、子供がいちばん大切にしていたおもちゃを投げてこわして、大切なもの、大好きなことを大切にすることを子供に教育されたそうです。
また、原さんご自身は、子供たちに、自分は財産は残さない。財産はいずれなくなる。だから、経験や思い出を残してあげたい。そう言って、子供が好きなことをすることに対してはお金をいとわなかったと言います。
そんな父親のもと、奥様の教育のもと、原さんお子さんはどんな風に育たれたのか?
お子さんは3人いらっしゃって、お子さんとはいっても今はもう立派な大人ですが、そのお子さんたちともお会いしたことがあります。みなさん、とてもすごい人、魅力的な方々です。
子供のことすら忘れて、大好きな鉄道模型に熱中する父親の背中はしっかり教育にもなっていたんだと思います。
やっぱりすごく好きになること、好きなことをとことんやることは大切です。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt