もともと風のようになりたいといって会社に入った人間ですから、正直クルマにはあまり興味がありませんでした。
会社に入ってからも営業が長かったので、どんなクルマでも売ってやるという心意気を大事にしてきたのてなおさらです。
でも、商品企画の仕事をする以上そういうわけにはいきません。
そして、昨日まで書いてきたように、ほんとうに好きになってとことんやるということを新たなテーマにして、レクサスの仕事をはじめたのですから、とにかくクルマのことを好きにならないといけない。
それで、自分がやったことは二つです。
一つはいろんなクルマに乗って、クルマの違いや良し悪しがわかるようになること。
実際、仕事をとおして、クルマのデザイン、走行性能の違いやその違いを生む技術的なファクト、開発の苦労を知るにつれ、クルマってすごいなぁ〜と思うようになりました。
クルマという乗り物は、時速100キロ以上、人間では不可能なスピードであらゆる路面を走ります。そんな過酷な状況を走るということは、知れば知るほどすごいことでした。
また、デザインも10ミリ20ミリの違い、ラインの入りかた一つでデザインの見え方がぜんぜん変わります。
個性の違いがわかると、女性の好き嫌いみたいに、ブランドの好き嫌いもでき、それでまたクルマのことが好きになりました。
もう一つは、クルマを開発してる人、世界でクルマを売ってる人を知り好きになること。
開発には何千人もの人が関わっています。
たとえば、クルマの中の体感温度を評価する匠がいます。
また、クルマの乗り心地にとって、とても大事です。
試乗して、クルマの振動の周波数をほっぺた、太ももなど、カラダのどこがふるえるかでわかる匠もいます。
こうしたことを知るとほんとに面白いし、勉強になるし、クルマのことが好きになりました。
と同時に、
クルマに興味のなかった自分が好きになれたのだから、自分が知ったいろんなことをもっとお客様にお伝えしたら、クルマのこと、レクサスのことを好きになる人が増えるなとも思いました。
今まではテレビや新聞など伝える手段が限られていましたが、
今はウェブの時代。伝える中味に制限はありません。もっともっと発信できることはあると思います。
一方で、人の心を動かすクルマの魅力、向上って何なのかはとても難しいことも知りました。
そんなふうにして開発されたクルマですが、お客様にとって、何がわざわざ買いかえるだけの魅力になるか、他のモデルから乗り換えるだけの魅力になるかとなると、どんなによくなっても、その理由にならないこともある。
そのためには、われわれはもっとお客様のこと、人間のことにくわしくならないといけない。
開発することをお客様視点で提案したり、開発したことをちゃんと伝える企画を進めたりすることの大切さと責任をつよく感じました。
クルマってすごい。でも、売れるクルマは何かとなると難しくてたいへん。でも、だから、面白い。
もっと若いときにこの仕事を経験したかったなぁ〜と正直思いました。まさにExperience Amazing です。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt