トヨタに入社してからのことを書いてきましたが、その経験についての話はそろそろ終わりに近づいてきました。自分のメインのキャリアは営業です。ただ、営業といっても実際に売る営業ではなく、販売店を通じてどう販売するか、販売店をどう強くするかを考える営業企画です。最後にその仕事について思うことを書きたいと思います。
以前書いたように、自分自身は、営業企画は販売店の方々をしあわせにする仕事だと思ってやってきました。
しかし、
バブルがはじけて以降、市場はさがりつづける、自動車産業が100年に一度の変革期をむかえる今、営業の価値とはなんなのか?
特にヨーロッパから帰ってきてからの数年間は、ずいぶん考えました。
そこで感じたこと。
会社の売上が増えていかないときの営業の役割はなんなのか?
創業のころの営業は開拓者だったと思います。
開拓することが営業の価値。どんなにいいものをつくっても売れないと利益はあがりません。
営業は、クルマを売ってくれる資本家をみつけて販売ネットワークをつくる開拓者。
クルマを販売する販売店とともに成長するためにネットワークを拡げていく開拓者。
新しいクルマを買ってくれる人をテレビCMや販売活動でつくっていく開拓者。
市場がのび、台数がふえていくときの営業は開拓者としてほんとうに力強い。ところが、
開拓が終わって、あらたに開拓することがなくなりだしたとき、どうなるか?
一緒に苦労して育った販売ネットワークをまもりはじめる。
100年に一度の変革期、開発や調達などほかの部門は、今までのやり方を否定して、あらたにチャレンジしている。それにくらべると営業は守っているようにみえる。
もちろん、自分もふくめて、新しいことにつねにチャレンジしてきたという気持ちはあります。でも、それは生きのびるためのチャレンジで、創業のころのように、開拓するチャレンジだったか?
どこか今の日本と似ている気がします。
リクルートという会社は、次々と新しい事業を成功させていますが、それを支えているのは営業だそうです。新しい事業の需要を力づくで開拓して、事業を軌道にのせていきます。
クルマをつくって売る会社からモビリティカンパニーになるとトヨタは宣言しました。
変革のとき、営業が求められる価値は開拓すること、あらためて創業のころの営業本来の役割が求められているように思います。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt