カー用品通販事業をやると決まりましたが、いざ扱うカー用品の実物をみると、魅力があまりない。メンバーが
「黒いのと、キャラクターものしかありません。」
そう言いました。当時のカー用品はほとんどが黒。デザインといえばディズニーなどのキャラクターばかり。
他の通販事業者をネットでみると、そのサイトの特徴あるオリジナル商品があります。われわれもこの事業の看板になるような魅力のあるオリジナル用品をつくらなければということになりました。
いろんなツテを使って、提携してくれるブランドをさがしました。
そして、ひとつ見つかりました。インテリア雑貨の人気ブランド、フランフランです。
紹介してくれる方と一緒に、フランフラン本社に行きました。
場所は原宿。すごくオシャレなインテリア。
うわぁ〜と少しおのぼりさん的に感じつつ、少し緊張して、社長以下役員が集まる会議でプレゼンしました。
「今、トヨタはいいクルマをつくろうよとのかけ声のもと、がんばっている。女性にとってのいいクルマとは何か?クルマの中を自分の部屋みたいにコーディネートしたい女性は必ずいる。そんな
女性のために、新しい用品をつくり、新しいクルマの楽しみ方を提案したい。」
そう想いを伝えたところ、
「モータースポーツの用品のお誘いは自分のブランドとはあわないと思い断ったが、
それならおもしろそうだから、やってみましょう。」
そう言っていただけました。
こうして、フランフランさんとの用品開発の検討がはじまりました。
ところが、しばらくして先方から。
「もうトヨタとはできない。はなしはなかったことにする。」
そう言ってこられました。
とにかくあわてました。青天の霹靂です。
メンバーに聞いてもなぜそんなに怒っているのかがわからない。この提携をコーディネートしてくれていた方を通じて、理由を確かめてみると、
理由は、僕の部下が事業立ち上げ時期からの逆算して、さっそくスケジュールを決め、それぞれの役割を決め、いついつまでに何をやってほしいという話を先方との会議でしたことでした。
部下にしてみると、系列の取引先としている仕事と同じようにしただけです。
ところが、相手にしてみると、対等な立場で一緒にやろうと意気投合して、これから一緒に新しい用品を考えようというときに、
そう言って怒られたわけです。このことは以前ブログに書いたとおりです。
言われてみれば当たり前。
すぐに先方におじゃましました。とにかく責任者の方におわびをし、あらためて想いを語るしかない。
そう思いながら、小さな会議室で待っているときは最初の時よりずっとドキドキしました。
先方の責任者が来られてからは必死です。もう一度女性にとって新しい車の楽しみ方を提案していきたい。つくりあげたいと説明しました。すると、必死さが伝わったのか、先方の責任者の方が
「わかった。だったらいい。やろう」
そう言っていただけました。 その後、商品開発は順調に進み、フランフランの用品は新しいカー用品事業の目玉商品となりました。
あの時、もし、怒られたのにおびえて、どんな改善策をとるか、どう言うかを検討してから、時間をおいて先方を訪ねるという選択をしていたら、きっと提携の話はダメになっていたと思います。
おこられた時、すぐに先方に出向いて、自分の言葉でこの事業についての想いを語ったことで、さいわいにも道がひらけました。
事業と仕事はちがう。新しい事業は、まず想いを共有し、ともに進むことから始まる。
そして、何かあれば、いつも想いにたちかえる。そして、その想いを語る。
あの時とにかく会いに行って思いを語ったことは、事業の最初の運命の分かれ道だったように思います。
何かがおきたらすぐ動く。こころを尽くせば道は開ける。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything Is Beautiful, nothing hurt