ビートルズの音楽はおいしい料理みたいだという話を書きました。だから、今日は料理の話です。
料理はお客様の口の中で完成する。
最近お気に入りの割烹料理やさんの大将の言葉です。
ほんらい、割烹料理とは、お客様の前で包丁を入れてつくる料理のことを言うそうです。だから、そのお店では、その日のために仕入れた食材をきちんとしこんでおいて、実際に目の前で包丁をいれて調理してくれます。
大将が自分で朝一番に市場にいって、自分の目でたしかめたまちがいのない素材を、その素材がいきるように、ものによっては何日もねかして熟成します。熟成では生のさかなを毎日美味しくなれよと話しかけながら手で状態を確かめてギリギリまで熟成させます。
調理では、表面はこがすけど、中は半ナマとか、タレとのコンビネーションを考えて調理をする。結果、その料理は同じ素材なのに、口の中でかんでいるうちに3回くらい味がかわっていきます。
たとえば魚の場合、口の中で香ばしい香りとサクッとした食感がまずひろがります。その次には、魚のホクホクとした身を味わう。最後にかんでると、魚にしこんであったスパイスが感じられる。
まさに、料理が口の中で完成する。
考えてみれば、これは料理の話ですが、すべてのことにあてはまるように思います。
たとえば、誰かに自分の気持ちを言葉で伝えたとき。
その言葉を話した自分の言葉は、話した瞬間に自分をはなれ、その言葉を聞いた相手がどう感じるかはわからない。
自分の発した言葉の意味は相手の心の中で完成する。
おもてなしだって、心を込めたおもてなしも、それをうけとったお客様の対応によってもかわるし、最終的にはお客様の心の中で完成する。
大切なことは、自分が好きなできることを相手のことを考えて精一杯すること。そこで納得して、最後は相手にゆだねる。
ゆだねて、相手がすごく喜んでくれたとき、自分が相手のためにした努力がわかってもらえたという喜びがある。
わかってもらえたときの喜びは、当たり前のように喜んでくれると思っている時より、はるかに大きい。
おいしいねぇ〜これはすごく手間がかかってるね〜って、大将の料理を食べてしみじみ大将に話しかけたときの大将のうれしそうな顔はほんとにすてきな笑顔。その笑顔もまた料理の一部のような気がします。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt