そのことについて書こうと思います。
屋久島は植物にとって、たいへんきびしい島です。
マグマが隆起した島で、ほとんどが岩でできています。ただ、九州で上から8番目までの高い山はすべて屋久島の山、そのために、一年のほとんどが雨。たくさん雨がふるおかげで、岩に苔が生し、その苔の上に木々が生え育ち、森ができました。ただ、
土がほとんどなく苔だけなので、栄養があまりありません。雨が多いので太陽をあびる時間も短い。
結果、木々が育つスピードがとても遅くなります。そのため、普通は500年くらいが寿命の杉が1000年以上も生きます。
屋久島の森にはほんとうにいろんな植物が生きています。切り株の上から生えている木、大きな木によりかかるようにして生きている木、地面や木をおおうように生える苔。
その中で、名前がある杉があります。一番有名なのは縄文杉ですが、それ以外にも釈迦杉、仏陀杉、公家杉、武家杉、七本杉、女王杉、母子杉、あげだしたらキリがないほどです。どれも特徴があって、とても魅力的な木です。
屋久島の植物はどれも個性的なのですが、いくつか共通点があります。
ひとつは長生きしていること。
二つめは形がまっすぐではなく、曲がってたり、木が合体していたり、大きなコブがあったり、変わった形をしていること。
そして、三つめが苔だけでなく、いろんな木や植物がその大きな木と一緒に生きていること。
木が厳しい環境を生き抜いてきたそのがんばりがそのまま木の形になっている。
太陽をもとめて枝はくねくねにまがる。幹についた傷をなおしてコブができる。倒れそうになった木がよりそって生きのびる。そんな木の努力がそのまま形となっている。それが人の心に伝わってくる。
そして、そんな木にさまざまな植物や木が鹿に食べられるのをさけて、身を守るためにひきつけられるようにして生きている。
時々、まっすぐな木もあります。でも、まっすぐな木はあまり魅力がありません。
ましてや、本土の山の人が植林され、人が枝打ちして、まっすぐにのびた杉には屋久杉のような強い力を感じることはできません。
人も同じだなと思いました。
親に甘やかされて苦労もなくすくすく育った人よりも、いろんな苦労をのりこえて生きてきた人の方が力強く魅力がある。その魅力にいろんな人がひきつけられて集まってくる。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt