昔、クラウンのWEBムービーを日本を代表するジャズギタリスト吉田次郎さんにお願いして作成したときのことです。
そのとき、ムービーの音楽をとる立ち合いのために
乃木坂にあるソニースタジオに行きました。
音楽好きとしては、ソニースタジオで一流ミュージシャンのレコーディングの現場に立ち会えるというのは夢のようで、大変楽しく、学びの多い時間となりました。
演奏の素晴らしさや雰囲気にも感動したのですが、面白かったのはレコーディングプロセスです。
まず、吉田さんがパソコンで作曲したデモを持ってこられます。
そこへ、ドラマーが登場、その原曲を一回聞くと、吉田さんが「爽やかで小気味よくお願いね」と一言。その後ドラマーがさっそくドラムを叩きだし、ドラムパートの録音開始。その演奏がコンピューターでつくられたドラムパートと差し替えされます。
すると、今度はピアニスト登場。再び、曲を一回聞くと、また吉田さんが、「この辺りはスペーシーに、ソロはギターと絡む感じで、最後は好きにあばれてください」と一言。
そして、ピアノの演奏が始まります。その演奏の素晴らしいこと。ピアノのアレンジとソロがその場で生まれ、コンピューターパートと差し替えです。
そうやって出来上がった曲は、原曲と比べ見違えるほどよくなっていました。
自分がバンドをやっているときも、自分が創った曲をメンバーが聞いて、それぞれのパートを考えて一緒に演奏した時に、自分が創った時に思った曲より、いい曲に化けることが醍醐味でした。
その過程が一流のミュージシャンの即興で目の前で繰り広げられたことにすごく感動しました。
レコーディング技術はコンピューターの登場によって、大きく変わりました。
もうミュージシャンが一緒に演奏するなんてことはなくなり、バラバラに来て、バラバラに演奏、何回か演奏して、いいとこどりで編集、音程や強さ、長さの微調整もコンピューターで行います。
音楽のような芸術の世界もIT技術がもっといい音楽づくりに貪欲に活かされていました。
クルマをつくる人、音楽をつくる人たちのもっといいものをつくりたいという情熱がそうさせるのでしょう。
それに比べると、営業や事務の領域は、そうした技術の活用がまだまだです。
自分たちの仕事をあらゆる手段、技術をつかってよくしたい、お客様をよろこばせたい。そういう情熱をもって取り組みたいなと思います。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt