外出自粛と在宅勤務、家にいることがほとんどの日々。読書は一つの過ごし方です。フェイスブックでも自分の好きな本の表紙を7冊紹介するというのが流行っているようです。読書は好きで年間40冊くらい読みます。ということで、自分が読んだ本でよかった本を紹介したいと思います。今回は人生観・人間観を学んだ本です。
1. 浅田彰「構造と力」
大学生だった83年に、突然、ちょっと難しい哲学の解説書「構造と力」という本がヒットし、「ニューアカデミズム」ブームが起こりました。浅田彰さんは当時26歳、京都大学の助手。同年代の人が書いたこともあって、当時、その本を読んだ友達たちと本を読んだ感想の話をしたものです。
これからは何か一つのことにこだわり続けるパラノイア的な生き方より、一つにこだわらず自由にいろんなことを楽しむスキゾ、分裂症的な生き方が主流の時代になる
というのが主なメッセージ。実際、この本がヒットした10年後インターネットが生まれ、スマホが登場して、世の中は大きく変わりました。いろんな人がいろんな興味のあることを自由に表現して、多様化し、新たなビジネスが生まれ、社会が豊かになったことを考えると、今の変化を予言していた本だったなと思います。
この本では、哲学者やミュージシャン、画家などいろんな人をスキゾとパラノに分類して紹介するのですが、これがなんだか面白かった。この後、紹介するニーチェもラカンも岸田秀も、大好きになったピアニストのグレングールドも実はこの本で知りました。
いろんなことに興味を持つキッカケになった本です。
2. ニーチェ「ツァトゥストラはこう語った」
世の中の常識や善悪は人がつくったものだから時代とともに変わる。
自分で常識や善悪を一旦打ち破る、避けられない運命全てを自分がやりたいことだと肯定して前向きに生きる(永劫回帰)、そして自分が信じる善悪を見つけて力強く生きる
それが自分なりに理解したメッセージです。とても前向きで力強くて、同じ生きるなら、そんな風に生きたいなと思います。
「鏡像段階論」が有名です。
人は生まれてからしばらくは自分がどんな形をしているのかはわからない。自分が人の形であることを親に抱かれながら映る鏡をみて初めて知る。だから、赤ちゃんは鏡を見ると笑う。
人はその後も自分が世の中に受け入れられているかどうかを人の反応という鏡に映る自分を確かめながら生きる
と語ります。
人って、たしかにそういうところがある、人は脆いものだなと思いました。人とのコミュニケーションを大切にするようになったきっかけの本です。
この本のことはブログで書き、何度も引用してきました。
世の中は全部まぼろしって話です。
5. 般若心経
僕が高校生の時に、知り合いのおじさんが般若心経の写経をして、毎日のように般若心経を唱えながら、愛宕山という山に登って納めていました。明け方暗い時に、唱えながら歩いていると、道がほんのり明るくなるんだと教えてくれました。カトリックの学校に通っていたので宗教には少し興味がありました。それで、本屋さんで般若心経の解説本を買って読みました。
色即是空空即是色
実態は空っぽで空っぽは実態だという意味のこの言葉。当時はなんのことやらさっぱりわかりませんでしたが、今日ご紹介した本に出会い、いろんな考え方を知るようになって、その意味がわかった気がします。お釈迦さんはすごいなと思います。
今のような不安がつのる時は、思い悩んでいることもまた、実は空っぽなことだと思って、平常心で乗り切りたいものです。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt