自分が思う問題解決を突き動かす力の二つ目は、人間の欲望です。
トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一さんの書かれた「トヨタ生産方式」という本を読むと、今ではいろんな業界で参考にされているこの方式が、当時いかに革新的で、反対され、仕入先にまで浸透するのに時間がかかったのか、それはどうやって浸透していったのかがわかり、すごく感動します。
「3年でGM、フォードに追いつけ」
そうしなければ、トヨタは死ぬかもしれなかったからだと思います。
当時はお金も、人も、技術もなかった。あるのは人の知恵だけです。生産性はアメリカの8分の1と言われてました。生産性を8倍あげて追いつくためには知恵でムダをなくしていくしかない。それがトヨタ生産方式の出発点だったそうです。
言われたことだけやればいい、それ以外はやってはいけないと言われていた現場で働く人たちが、知恵を絞って現場を改善するように求められます。
そして、改善の提案をすると、できることはすぐに実現してくれる。
自分が提案したことで、実際にものづくりの現場がよくなる。そこに自分の足跡が残る。工場に自分が実現されていきます。自分が実現されていく工場は、まるで自分の工場にようにも感じられる。
それが現場の人にはとてもうれしいし、やる気がつくる。
そのことは、トヨタがはじめてつくった本格的な海外工場であるケンタッキー工場で証明されます。
大雪の日、普通なら来ないはずの工場で働くアメリカ人たちが出勤してきたのです。
永遠にあこがれる人の思い、そして、人の欲望、こうした人の根源的な力によって突き動かされるやり方だからこそ、とても日本的だと思われていたトヨタ生産方式はグローバルに浸透していったのではないかなと思います。
残る力はあと一つ。明日に続く。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt